大学を卒業後、教えるのが好きだったことから、専任講師として学習塾に就職。毎日必死に教え全員を志望校合格に導く。が、部活で疲れ切った体で試験対策のために塾に来ていた生徒に「こんなに勉強しても英語が話せるようにはならないんでしょ」と言われ、全く話せなかった自分には生徒の切なる願いをかなえられないと痛感。子供たちの将来のために一から実用英語を学ぼうと決心。様々な語学学校で学び直し、子供英語学校の英会話講師となる。2才の親子クラスから中学生のクラスまで、日本語を一切使わない英語のみのレッスンを実施でき、生徒は楽しく英語力を向上させ、新年度全員が継続して通学するように。しかし、併設されていた大人校の生徒と接する機会があり、「英語ができないから転職ができない」、「昇進できない」など切実な悩みを打ち明けられ、大人を救いたいという思いに至り、再び本格的に勉強を再開。力をつけてなんとか高校生以上の大人向けの学校の英語講師となる。

しかし、自分の指導はマンネリ化。さらに、自分はほとんど海外経験がない中、生徒たちが海外の大学院へ留学、海外赴任などを実現し、自分が教えた英語が現地で通用しているのか疑問に思うように。そこで、30代半ば、アメリカの大学院で英語教授法を世界中から集まる英語の先生たちと共に学ぶことを決心。またボストンの大学やニューヨークの移民センターで、30ヶ国・地域の学生や社会人に英語を指導できるまでになる。

英語は日本で勉強し、上級者まで教えていたのにもかかわらず、アメリカで多国籍の人々と生活、学業、仕事を共にし、良好な人間関係を築いていくのに苦労する。大学院では、クラスメイトともめる。アメリカ人の教授から嬉しそうに日本に勝利した戦争の話を聞かされ激怒する。また、仕事でも、生徒から初対面で日本人に対しての偏見を持たれ、どんなに入念な準備のもと熱心に教えても、信頼を得られない。さらに、異なる宗教同士や、もめている国や地域からの生徒達が一つのクラスにいるため、なかなかお互いを受け入れ合えないという、日本では体験したことのないような深刻な問題をたくさん抱えるようになる。思い悩むことが多くなり、多大なストレスを抱え体調を崩すようにもなる。

しかし、「このままではいけない。なんとか解決しなければ」と思い改める。「たとえどんなに語彙や文法の知識を増やしても、どんなに聞く、話す、読む、書くという4技能を実践しても、他国の人と分かり合うことは難しい。」ことに気づく。「異文化間で良好な人間関係を築き、共存していくためには、異文化間理解を前提として、生徒に知識を習得させ、スキルを実践させていかなければいけない」と実感。

また、大学院で学ぶ指導法は初めてのものばかり。さらに多国籍の先生達とお互いの国の英語教育について議論をしたことで、日本の英語教育が世界から大きく後れを取っていることを知る。多国籍の生徒を指導する中、どの国の生徒もレベル関係なく、祖国で小学校に行ったことのない生徒ですら、積極的にかつスムーズに話すことに驚く。日本人に足りないものは、「使えるようになるための英語指導と、他国の人と分かり合おうという気持ちを前提にしたコミュニケーション力だ」と気づく。

たとえ、相手に否定的な気持ちが湧いても、「異文化間では当たり前に共有しているものなどない。違うことこそ当たり前。それぞれ優劣などなくただ違うだけだ」と、大学院の英語教授法で学んだ考え方を自分に言い聞かせ、落ち着いて客観的な見視点を持ちながら相手を理解するために言動するように心がけるようになる。

そして、「どんなに私が私個人としてコミュニケーションをしても、日本人として見られるもの。日本人としての自分の言動に責任を持とう」と決心し、常に自分個人のみならず日本人としてどう見られているかを意識して言動できるようになる。

さらに、多国籍の生徒に教える際は、「自分も外国人であること、また英語学習者であること」から同じ悩みを持ってきたことを伝え、彼らの慣れない土地での生活や難しい人間関係、簡単にはいかない英語学習への理解を示し、寄り添い続ける。結果、大学院ではクラスメイトや教授と良好な人間関係を築き、ワーク、研究を行うことができるようになる。

一方指導では、多国籍の生徒達から、自分達のよき理解者と認められるようになる。また、それぞれの母国語を知らないのにもかかわらず、彼らの英語の間違いや問題から、母国語と英語との違いを瞬時に気づけるようになり、分かりやすくかつ効果的に指導できるようになる。アメリカの大学や大学院の進学、アメリカで就職という目標実現に貢献する。

「単に、語彙や文法の知識の習得や、4技能力の向上のために教えるのが自分の指導者としての役目ではない。日本人が異文化間で他国の人と理解を深めながら、生活、学業、仕事で目標を実現していくために必要な英語を教えよう。」という思いを胸に帰国。帰国後、大人向け教室の開校し、企業研修を行い、異文化理解を前提とした現場で使う英語を指導。現在は、「日本の英語教育を変える」という目標実現のために、学校、塾、教室の英語の先生向けに英教塾（えいきょうじゅく）を主宰し、様々な指導法についての講座を開講。また、様々な大学で講師を勤め、専門科目が学べるようなアカデミック英語の習得や、試験対策によって海外大学への留学の実現やスキルの習得に貢献。省庁向けにも研修を続け、毎年英語のみを使用する機関での研究を実現のサポートをしている。さらに、様々なテーマについて依頼を受け、講演やセミナーも行うなど教育活動の幅を広げている。

英語の先生方から、「初めて教わった指導法を取り入れたら、生徒がやる気も英語力も短期間で向上して驚いた。」「苦手な英語を克服し、志望大学に合格できた。」と多くの声をいただいている。

現在海外の大学に留学中の元生徒からの声は、「スコアが上がらなくて留学をあきらめかけてた時、先生の講座を受講しスコアが取れ希望の大学に留学できた。試験だけでなくこちらの大学の授業にも先生から習ったスキルが使えていい成績が収められている」

社会人からは「中学英語もわからなかった自分が、海外出張できるようになるなんて、先生のおかげです」と、多くの喜びの声を聞いている。